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日本棚田百選のひとつ、大江町・毛原の棚田。代々の人の手を経た必然の造形美がなだらかに続く風景は、いつまで眺めていても飽きないほど、ノスタルジックな魅力にあふれている。西日本では
石積みの棚田が多いが、ここ毛原は粘土質の土を利用した「土坡(どは:法面
を土で盛る)」の棚田なので、いっそう柔らかな風情をみせている。
棚田と集落を維持したい。
なにしろ不便な山里である。過疎化・老齢化のため、 不耕作地は増える一方で、1000枚以上あった棚田も、600枚位
に減ってしまった。 今では13戸で約8ヘクタールの棚田を営むに過ぎない。棚田あってこその毛原。先代から引き継いだ棚田と集落をなんとか残したいと、模索が始まった。
まずは平成9年に、地域興しの一環としての農業体験ツアーの実施から始めた。
訪れる人も、住民も。双方の感激。
人手もかかって大変だったが、体験ツアーの参加者の喜ぶ声や感謝の手紙などの手ごたえが、住民たちにはうれしかった。元気が出た。
第一回目の参加者の、滋賀県栗東(りっとう)市の川瀬さんご夫婦にお話を伺った。
「新聞広告を見て参加したが、いただいた地酒のおいしさにコロッとまいってしまって・・」という。それで、体験だけではなく、田んぼを貸してもらえないかとかけあった。二回目から棚田オーナー制度(年間契約)が発足し、利用させてもらうことに。約200キロのおいしい米が収穫できる。美しい棚田で、しかも自分で作った米を食べられるなんて「最高の贅沢です!」と夫妻は顔を輝かせる。
景観だけじゃない。人の良さが一番の魅力。
川瀬さんらは全くの初心者。世話人である「水口のおとうさん」に手取足取り教わった。
川瀬さんの奥さんが、田植えをする手つきをしながら、 「田植え体験の時、このお父さんに、こう、こう、こうや〜ぁて、教えてもろた時から、もう気ぃが合うなぁいう感じでしたから」と、
水口さんににっこりと笑いかけた。 「うまが合うてなあ」と優しく受ける水口さん。住民の心根がいいことも魅力のひとつだというご夫妻は、我が田舎となった毛原に、3時間かけて足繁く帰ってくる。もうすぐ停年。借りられる家さえあれば、ここに定住したいとも考えている。
来てもらって良かった!
初めは都市から人が来ることに、住民には疑念や不安もあったという。労力など、負担がないわけでもない。しかし、いざ、都市からの人と交わるようになって、閉鎖的な体質もあった集落の雰囲気が、明るくなってきた。生活に張りもでて、地元への愛着が増した。素人ながら懸命に農作業をするオーナーたちと胸を開いて語り合い、オーナーたちは「お借りしている大切な棚田だから」と心して手入れをする。そこには一過性でないしっかりした人間関係が形成され、それが棚田と集落の活力の源として育ちつつあるようだ。
棚田に関する参考サイト
● 社団法人
農村環境整備センター
●
NPO法人 棚田ネットワーク
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