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『YKKグループ黒部事業所/環境グループ』
YKKグループの前身吉田工業が黒部市長の招聘を受け、「会社の故郷は黒部」と定めてファスナーの一貫生産工場をこの地に建設したのは昭和29年のこと。ファスニング事業では世界市場45%のシェアを獲得、YKKグループとして世界70ヵ国/地域、123のグループ会社で様々な事業展開を行う大企業となった今も、地元の人々にとってYKKは、「チャックさん」と親しみをこめて呼びたい存在だ。

1994年、YKKグループでは、ボーダレス環境時代に向けて『YKKグループ環境憲
章』を制定。「省エネルギー」「省資源」「リサイクル」「生態系配慮」をキーワー
ドに、日本国内グループと世界各地工場で環境対策を推進し、キーワード基準を満た
すエコプロダクツ商品の開発にも力を入れている。 YKK黒部事業所での工夫や取
り組みなどについて「環境グループ」からお話を伺った。
こんなことも!企業のエコ・チャレンジ・アイディア
「生態系配慮」

名水の里を守る廃水処理

扇状地の中でも海岸に程近く、黒部の工場がある地域は伏流水が特に豊かだ。「清水」は地域の財産でもある。ファスニングの染色や建材製造に当たって必要な工業用水は、湧水の枯渇を招かないよう取水位
置に配慮が払われている。染色廃水などは生物処理を行って「多段式・流動床式活性炭吸着塔」を通
した後、鯉を放した池で「生物モニタリング」。その後雨水を含む排水は、pH計や油膜計、濁度計が常時監視する排水口から吉田川に放流されるが、万一異常が感知された場合は、排水口のシャッターが作動し緊急貯水槽へ貯められるのだそうだ。
水質の総合評価は水生調査で

排水放流先の吉田川では2001年から、年1回社員が水生生物調査を実施している。水質検査はどこでもやるが、川の健康度を一番知っているのは生息する生物たち。結果
は一般に公開され、住民の安心感につながっている。
水の還元、様々な工夫

また、製造過程で使う冷却水を回収して浸透性のある池に貯めて表流水を再利用したり、工場施設内の雨水を地下に還元するなどで地下水を保全し、1991年から現在までに井戸水の揚水量
を半分以下に削減。その他にも使用水を従来の20〜25%に抑えたファスナーの開発など、グリーンマーケットに対応した環境負荷の少ない商品「エコプロダクツ」の開発にも力を入れている。
土壌汚染は地下水の汚染

2003年の「土壌汚染対策法」に先駆けて、YKKグループでは、「YKKグループ土壌汚染対策指針」を作成
。2002年から自主的に、土壌調査義務条件に該当しない黒部事業所敷地で残留物質の確認調査を開始した。その結果
、浄化を要する土地はゼロ、今後は地域環境保全と資産価値の観点から、経営リスクの低減を目的に全国展開の予定という。
「省エネルギー」「省資源」「リサイクル」

まだまだあった環境への取り組み

環境への取り組みは、発想と積み重ねがポイントだ。水とは直接関係ないが、投資金額を回収し経費削減に繋げた「工場の照明やスイッチ見直しで省エネと経費削減」。「土に返る面
ファスナーの共同開発」や「染色の過程で出る汚泥を乾燥させセメントの材料として再利用」、「事業所食堂から出る生ゴミから肥料作り」。また「梱包廃棄物ゼロ」を実現した荻生工場や、2004年度の事業所内の廃棄物612トン全てをリサイクルに回した黒部リサイクルセンターの取り組みなど。いたることころに、「資源循環型システム」の実例があった。
企業スピリットの力
環境を守るのが企業

「自然は一度こわしたら戻らない。それを防ぐのが企業」きっぱりと、環境グループ長の横倉滋さん。YKKグループでは、『環境憲章』制定以来、「環境との調和」を事業活動の最優先課題として、年間約30億円を環境対策に投じている。2005年度末までの達成を目標としていたゼロ・エミッション、「事業活動で発生する廃棄物の埋め立て処分量
をゼロにする」目標も、世界の主要拠点で実現の見込みだそうだ。
創始者が残した明快な判断基準

経済と環境の両立がYKK精神に基づく環境政策だが、取り組みの指針、原動力はどうやら、創業者の吉田忠雄氏の理念が全幹部・社員の胸に刻まれ受け継がれていることにあるようだ。吉田氏はカーネギーの「他人の利益をはからずして、みずからの繁栄はありえない」という言葉に感銘し、これが「善の巡環」というYKK精神となった。「自分だけが得をせず、相手のために汗を流すことによって、互いが幸せになっていく。そうして得たものをまた再投資していく。」経済が「人間の善」と共に循環するならば、「環境と調和した持続可能な循環型社会」も夢ではない。
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『YKKグループ環境・社会報告書』
2000年「環境報告書」として初刊。企画編集は、すべて環境グループが行っている。2004年からは「社会報告」が加わり、CSR活動の方向性が一層明快になった。PDFファイルで一年ごとの記録を閲覧可能。油流出防止フェンスに使われるファスナー、海外工場での雨水利用や染色汚泥のレンガづくり等の紹介なども。
●YKKグループ「環境活動」
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アイディアの源は社員
枯渇しないアイディア

日経新聞「2005年大学生の就職希望ランキング」鉄鋼・非鉄金属・金属製品部門一位
。株式を公開していないYKKグループにとって、社員は株主でもあることが大きな特徴だ。利益は社員に還元され、「一丸となってやっていこう」という意識が強いので、当然会社に抱く愛情や積極性が違う。省エネやエコ商品開発のアイディアの多くは、社員が提案したりヒントを出したものだ。
社員への環境教育

会社で学んだ環境への意識を、社員が私生活でも実践してこそ本当の成果
。環境グループでは民生・省エネ・ひとり一人が実践できる温暖化防止活動教育などのほか、社員・家族を対象とした環境ポスター・スローガンの募集も行っている。会社のもつ影響力は強い。当初は自発性にかける面
があった社員達だが、地域の海岸清掃に自主的に参加するなど意識の高まりが見えてきた。
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これも社員の発明です!
一本の長い長いチャックを閉めると、アラ不思議バックに変身。
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「あれ、こんなものが!」。ゴミの内容も記録。

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10年後、50年後が楽しみ。大きく育てみんなの森。
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地域との連携
「土地っこになれ」という善の巡環思想

「YKKが来たことで、町が良くなった」といわれるようにと、国内外問わず進出した地域に溶け込み、地域に合わせた企画運営を行うのがYKKのモットー。本来の事業活動から離れ、教育や地域活性化、国際交流のバックアップなどにも力を入れている。黒部事業所でも環境講演会を開催したり、会社の現状説明会でクレーム等も公開するなど、地域に開かれた会社のイメージが強い。
黒部事業所の場合

【黒部市を巻き込んだクリーンアップ運動】
黒部事業所が1993年よりスタート。春の田植え前と秋の稲刈り後に行っていた「クリーン大作戦」は地域の人々の共感を
呼び、行政、老人会や市内の商工業者も同時に参加。今や毎回、五、六千人がゴミ袋
を持参して大結集する黒部市全体の活動として定着している。

【工場敷地内に創造される森】
黒部事業所の敷地総面積1,960,000平方メートルの中に、動物が棲み、草木が自然サイクルのまま枯れ腐って土に返るような森づくりが進められている。イメージは懐かしい鎮守の森。2009年頃までに完成の見込みで、誰もが自由に出入りできる、ふる里の森が子ども達のために誕生することになる。

【カーター記念黒部名水ロードレース】
1984年、ジョギング愛好家の元米国大統領、カーター氏がYKK株式会社の創立50周年記念式典出席のために黒部を来訪したのを記念して始まったのがこのレース。2005年5月の第22回レースには四千名あまりが参加、現在でもYKK株式会社は協賛組織として商品提供や社員の派遣を行っている。
●YKK AP株式会社
●YKKグループ
●黒部事業所
●カーター記念黒部名水ロードレース大会事務局
取材協力・資料提供:YKK株式会社 黒部事業所
環境グループ
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