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どこもかしこも・・・

ガレた谷を見下ろし総毛立った。圧倒的な生命力をもった激しい水流がしぶきをあげ、泡立ち、岩を砕いている。吸い込まれそうだ。「通
行する者の事故に責任は負えない」という看板が立った土砂崩れの現場は、沢筋を横断する道がごっそり抜け落ち、路肩では崖から滑り落ちんばかりにショベルカーが作業中だった。激しくバウンドする車にずれるヘルメットを押さえながら、険しい林道を祖母谷に沿ってカモシカ谷を通
過。至るところ今にも崩れんばかりの 尾根、沢、谷だ。
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見下ろした谷筋 |
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命がけの工事現場 |
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カモシカ谷
沢というより鋭利なナイフで深くつけられた傷跡のようだ |
平成7年の水害で、スリットダム※として日本ではじめて土砂流出抑制効果
を実証した「国土交通省祖母谷第七砂防ダム」。激流に踏ん張るダムの肌は傷だらけで無骨で、不思議なぬ
くもりがあった。出水のたびに流れが変化する祖母谷は峡谷の「3大崩れ」のひとつで、平成7年、岩魚の宝庫だった支川祖父谷は、大崩壊があり今だ裸地状態。平成12年には、祖母谷が支川名剣沢からの土砂流出で閉塞している。
【スリットダム】※
堰堤本体に切れ目を入れた砂防ダム。通常は常流して水や土砂を流すことで河川環境をより自然に近い状態に保ち、洪水時には土石流災害を堰き止める。
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思わず息をのんだ第七砂防ダムへのトネンル出口 |
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第七砂防ダム |
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富山県森林管理署管轄「祖父谷」 |
なぜ黒部峡谷に大規模な崩壊が?

黒部川上流域の山地は侵食の進み具合からいうと、壮年期。地球単位
で見れば「崩れ」は、山が老年期に向かう時に起こる当然の現象で、人智では止めることのできない自然の営みといえる。

黒部川流域の花崗岩類でできた地質は風化作用を受けやすい。加えて峡谷内の上流域では、冬の間に侵食された山肌の岩の間の水分が凍っては解けるという繰り返しで崩壊が起こる。中流域では、岩が風化した厚さ1メートルもない土層が岩盤表層に乗っており、その保水能力のせいで重くなって表層が滑って崩れる。峡谷の崩壊面
積比率は、5%強(31平方キロメートル)と全国一位、崩壊地は全体で7,000箇所以上もある。
【砂防について】
詳しくは当サイト内「日光・大谷川を知る>日光砂防
」へ
「崩れる宿命」との闘い

峡谷での工事は厳しい気候風土に加え、資材運搬方法がトロッコ列車に限られるなど制約が多い。作業は列車運行期間中のみ。重機等も分解して運び現場で組立直さなければばらないのだ。しかも区域のほとんどが国立公園にあるため様々な配慮が要求される。

山奥で土砂と闘う男たちは、家族を離れ半年余りを現場宿舎に寝泊りして工事に携る。道づくりから始まり年月をかけて完成した堰堤もいつかは劣化するし、道は何度でも流される。もう10余年峡谷で働いている人が、崩れる山を見上げながら、「こわれたら、またつくるがですよ」と言う。この淡々とした、あくなき闘志はどこから来るのだろう。都会の高層ビル建築現場を見慣れた目に、大地にしがみつくかのように続く土木作業
の光景は胸に迫るものがあった。
【もうひとつの課題・土砂管理】
崩壊地から流出する土砂は年間約140立方メートルと推定される。流出土砂が極めて多い黒部川にとって、下流に適度な土砂が流れるのが「自然の状態」ともいえる。土砂を食い止めながら、下流部河床の低下や、100年で約200メートル後退したと考えられる海岸部の侵食などを食い止める、総合的土砂管理が重要な課題となっている。

詳しくは「Shows
Magazin」(国土交通省黒部河川事務所) のトップページから排砂
情報へ・・・
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