津軽平野のどこからでも眺めることができる独立峰、標高1625mの岩木山。津軽人の 誰もが、呼び捨てにせず「お岩木さま」、「お岩木やま」と畏敬と親しみをこめて呼 んでいる。岩木川は、白神山地から、ぐるっとお山を反時計回りに巡って北上し、日 本海へと注ぐ。河口の十三湖、市浦に至っても、海岸線から、やわらかな稜線が望ま れる。見る方向によって、その地域自慢の姿があり、「ここから眺めるお山が一番」 と互いに譲らない。「津軽富士」とも呼ばれるが、津軽人にすれば、富士山の方を 「駿河岩木」と呼びたいところ。 

 石坂洋二郎は弘前市の出身、彼の描いた「青い山 脈」の風景にも、岩木山のイメージが入っていたに違いない。

 「神の山」として、太古の昔から、信仰の対象となっていた岩木山には、創建1200余 年の歴史を持つ岩木山神社が祭られ、本州最北端、北の門の守り神、福の神として、 人々の信仰が息づいている。代々の津軽藩主に手厚く保護され、鎌倉時代以降の密教 道場の構造、桃山時代の華麗な様式を取り入れた様は、「奥の日光」とも呼ばれ、一 部は国の重要文化財。ここのお払いで使われる御幣は、金色の金属でできていて、こ れが頭上で打ち振られると、えもいわれぬ妙音が鳴り響き、別世界に連れて行かれる ような心地になる。

 冷たくまろやかな味のご御神水は、岩木山の伏流水、尽きぬ清水 が登山者の邪気を清める。

旧暦8月1日、五穀豊穣などを祈るお山参詣は、最も大切な 行事で、神社境内で大合唱される「登山囃子」に、踊りだす人々の姿も見られる。暗 闇の中、人々の灯火の長蛇は山頂まで続き、ご来光を拝した後、「ばだら、ばだら よ」と下山唱言を唱えながら、喜びに満ちた善男善女がお山を下る。

毎日映像更新、「今日の岩木山」
「岩木山神社」玄松子WEBサイト

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