人口密集都市・基地の川

比謝川のプロフィール
比謝(ヒジャ)川は、本島中部沖縄市の「沖縄子どもの国」に源を発し、支流を集めて、嘉手納(カデナ) と読谷村(ヨミタンソン)の間を流れて東シナ海へ注ぐ。長さは13.4kmで、5市町村 にまたがる流域面積は本島最大、県の重要な給水源のひとつ。上・下流域は、市街 地、農地の密集地帯だが、流域の大半は米軍基地が占める。河口部は深く湾が入り込 み、川を利用した海の漁港がある。


南北に縦断する水
やんばるの森がつくる辺野喜(ノベキ)川、比地(ヒジ)川など、計13河川から取水された水は導水管を通 って、比謝川支流の与那原川上流にある倉敷ダムに注がれて、比謝川へと流れ、中 南部の人口密集地域に供給される。


親水空間
倉敷ダムにつくられたヤンバルムイ(山原の森)にはやんばるの樹木が植えられている。人工河川の上流から、とめどなく流れ落ちる水が、はるばると旅した「やんばる の水」。1日最大860,400m3の水が注水されている。小さなダムの周辺はきれいに整備され、資料館や展望タワーもあり休日には家族連れでにぎわう。

沖縄県ダム事務所 倉敷ダム管理所

 

  比謝川を歩く

とろりとした水


倉敷ダムを見学した後、比謝川を下流へとたどる。ほとんどが、基地の中を流れているため、川にアプローチできる場所がほとんどない。ブッシュをかき分け、覗き込む。 垣間見た川は、メコン川を思い切って小さくしたかのよう。

ポンプ場 栄橋(取水ポンプ場)
亜熱帯地方特有のうっそうとした緑が生い茂る中を、とろりとした薄緑の水が流れる。土の匂い強い。少し白く濁っているのは、そのせいか。川幅は2mあるかないかだ。 ここに取水場があり、水は水道用水へと姿をかえる。米軍も県から水を買っているという。臭くはないが、生活廃水が流れ込んでいることは岸辺の状態からも窺い知れる。いくら浄水場があるからといっても、これが水源とは・・・。
整備された遊歩道 中流部へ
自然界の唱和は、これほどまでに力強いものだったのか。けだるい熱さの中、セミや 鳥の鳴き声に圧倒されつつ、屋良城址(ヤラジョウセキ)公園から、左岸に整備され た遊歩道を行く。基地の側は草ぼうぼうだ。こちら側には増水の後のゴミ が散乱してるが、皮肉なものだ。ジャングル状態の左岸は、何ごとも無かったかのよ う。
取水堰 堰付近には、テラピアが群れをなして重なり合い、濁った水の 中でうごめいてい る。粟肌が立つ。コイ、ギンブナ、オオウナギ、テナガエビなどもいるらしいが、もはや、外来種のテラピア、グッピー、 タップミノーの天下のようだ。だんだんと汽水域特有のマングローブが生えはじめ、 ここまで海水が上がってくるのだなあと知る。二度もマングースに遭遇。
魚影 比謝川ダムができるまで、この一帯は那覇と山原(やんばる)を行き交う「山原交易船」でにぎわう湊だった。今は川幅もなく岸辺は雑草で覆われ、その面 影はない。かつては、ヤナも有り、1970年頃まではメダカもたくさんいたそうだ。国道58号線を渡ると、岸辺には「キケン、釣りをするな、泳ぐな」 の看板。釣りはともかく、ここで泳ごうという人はいまい。濁った澱みでは、異常繁 殖した外来種のプレコ(なまずの一種)の駆除作業が行われたばかり。ここも、テラピアやグッピーの姿ばかりだ。

嘉手納漁港

 

嘉手納漁港---かつて沖縄八景に数えられた名勝地
比謝川の河口内懐にひっそりとある、漁港にたどり着く。カモメの鳴き声もせず、漁 港特有のにおいも無い。

いまだ一人でサシアミで漁をしているという老人の一人乗り のサバニ(舟)があった。サバニそっと櫂を持たせてもらった。持ち重りのする櫂。海が刻んだ充足と孤独を思った。ここから、川はさらに開け大海原へと向う。浜辺から、海と、川の両方を眺めると、その堺は希薄だ。波頭まで青い波が、くだけては散る。

 

 

 
 

魚たちの生活事情


水面下のラッシュ
夏になると、マングローブ林のおかげで隠れ家にことかかず、しかも栄養豊富な河口域の川には、潮に乗って海の魚の稚魚、オキナワフグ、ボラ、ミナミクロダイ(チン)などがどっと押し寄せてくる。一方、川の魚たちの海への行き来も激しい。アユやハゼは、川で産卵するが、孵化した稚魚は流れ下って海で生活する。川のエビやカニの中にも、小さいうちは海で過ごすものが多く、どちらも成長すると川へと戻る。ウナギなどは川で成熟し、産卵のために南の海へ向う。沖縄の川には200種あまりの魚がいるが、川が短く、汽水域が広いので純淡水魚は20種。90%以上が、川と海を行き来して生活する。

水面下の環境悪化
かつての川の生態系に大きな変化をもたらしたのが、埋め立てや河川改修はじめ、南 部では家庭排水や畜舎排水による川の水質悪化、北部の場合は、山地開発などによる 赤土流出や堰・ダムなどの建設だ。

水面下の戦い
これに加え、移入種(14種)*の存在が大きい。繁殖力が旺盛で、汚れた水に強く気 性が荒い外来種に押され、在来種には、絶滅の危機に瀕しているものが多い。南部では、川に住む魚の90%以上が移入種に支配され、北部はそれほどではないものの、大井川では既に65%を占めるという。今や沖縄の川の生態系は、外国の川になりつつある。
*1992年現在

昔からいた魚たち ( )は沖縄名

メダカ、ギンブナ(ターイユ)、コイ(ターイユ)、ドジョウ、 タウナギ(トーンナジャー)、ウナギ(ターンナジ・ドゥルンナジ)、タメトモハゼ、タナゴモドキ、リュウキュウアユ、タイワンキンギョ(トウギョ・トーイユー)、モズクガニ、ミナミテナガエビなど

外来種( )は沖縄名

カダヤシ (タップミノー) 「蚊絶やし」。マラリヤ撲滅のため、1919年石垣島に放流されたが効果 は上がらなかった。メダカより幾分大きい。気性が荒く食物の好みが 似ている。最近はグッピーに追われ、かつてのメダカの運命をたどりつつある
グッピー 観賞用として移入され、1970年頃野生化。本来、水の汚れに強く、繁殖 力が強い
テラピア(カワスズメダイ) 食用として1954年移入されたが、今はドブ川に多いこ ともあって、食べる人はいない。オスが口の中で卵や子どもを守り育てるので、繁殖 力は旺盛。
テラピア(チカダイ) テラピアの一種イズミダイとも呼ばれ、養殖されている。水 の汚れに強く、繁殖力旺盛
ソードテール 観賞用として持ち込まれて野生化
ブラックバス 原産地は、北アメリカ。1963年ごろに移入。沖縄本島の、恩納ダム、 大城ダム等で繁殖。
タイワンドジョウ 1960年ごろ台湾から石垣へ移入。どうもうな肉食魚で、魚やえ びなど食い荒らす。子供はどじょうに似ているがどじょうの親類ではない。
その他 モツゴ、ソードテール、ヒレナマズ、ゲンゴロウブナ、ナガブナ、ヒレナマズ、モツゴ、ブルーギル

 

 

 

 

 生きものから環境を、知る・学ぶ・考える
2002年12月7日 「日本めだかシンポジウム沖縄大会」開催

 沖縄の身近な水辺はどうなっているのか?めだかを通 して沖縄の環境問題を考えてみよう。

  日時:2002年12月7日(土) 12時30分開始
会場:沖縄県国頭村郡国頭村 国頭村比地公民館
主催:日本めだかトラスト協会事務局
主管:グループ・エコライフ
(西江重信・日本めだかトラスト協会理事) tel/fax 098-877-6620

▼詳細は下記URLをご参照下さい。
日本めだかトラスト協会

 


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