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本来の姿ではないやんばる

ヤンバルの西の斜面を遠くから眺めると、所々に赤茶の樹冠が・・。「おや、亜熱帯常緑樹林に紅葉?」いやいや、これは松くい虫に犯されたリュウキュウマツの惨状である。県は、5年間で15億円を投じ、松くい虫の根絶を目指しているとか。しかし、やんばるの森の場合、その本来の姿は、長い年月を経て行き着いたイタジイ主体の安定した極相森林であり、リュウキュウマツが混生しているところは人の手が入っている二次林であるという。手つかずの豊かな原生林が広がる地・・・と思っていたが、どうやら少し違うようだ。

イタジイ:正式にはスダジイ。ブナ科。常緑広葉樹。
極相林:人の手がはいらないまま、長い年月をかけて最終的に安定した状態まで遷移した森。
命の連鎖への影響

大規模な林道の建設、天然樹木の伐採、農地化などの開発。県の補助金が使われる、下生え刈り取り・・・。
薄っぺらで、保水力も無くなった林床の下は、直に赤土「国頭マージ」がある。この状況が、微妙なバランスを維持している、やんばるの貴重な生態系に悪影響を及ぼしていることは否めない。スカスカの森では、飛べない鳥「ヤンバルクイナ」や、イタジイの老木に営巣する「ノグチゲラ」は生存できない。赤土も流れ出し、川、そして、海の命の連鎖にも影響を及ぼしている。自然保護の観点から見れば、いかにも残念な現実だ。
残された聖域を後世に・・・

自然破壊の進んだ西の斜面の森に対して、東の斜面の状況は少しちがう。驚いたことに、東の斜面
のほとんどが、米軍の戦闘訓練場に占められているのだそうだ。そして皮肉にも、民間人の開発や立ち入りが禁止されてきたおかげで、こここそが、生物多様性を保全する環境を保ち続けている。
近い将来、約80平方kmのうち北半分が返還されることになっているが、そこには樹齢100年を超える巨木を含む、切れめない自然植生で海岸線まで覆われている水系が残っているという。まさに、最後に残された「聖域」である。返還後、その自然をできるかぎり壊さないようにしなければならない。しかし、返還に伴って、非返還部分にヘリパット(ヘリココプター着陸帯)を新たに造る計画があるなど、森全体のダメージが懸念されている。
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