水源の森 やんばる沖縄本島・比地川

やんばるとは
沖縄本島北部の豊かな自然を持つ山原地域の俗称。広義では名護より北の地域全体をさすが、特に北部三村(国頭村・東村・大宜味村)にまたがる森を指すことが多い。

やんばるの森
世界有数の亜熱帯降雨林であり、太古より独自の生態系を営んできた。 天からの恵みを吸い込み、水が湧き、流れ、この島の命の源となっている。
ヤンバルクイナなどの絶滅危惧種も数多く生息していて、 まだまだ秘密をたくさん抱えた魅惑の森だ

やんばるの地形
やんばるには、沖縄本島の脊梁となる山系が、南北にかけて連なり、その東西に段丘地形が発達している。 最高でも標高503メートル(与那覇岳)というなだらかな山々には、無数の沢が流れ、多くの河川となって海にそそいでいる。流程距離が短く、多くが急斜面 であることから渓流が複雑な地形を形作り、亜熱帯山地の渓流に特徴的な渓流植物群落が発達している。これらの植物は渓流ごとに隔離され、固有種の分布も多い。

 


 


比地川を歩く

河口付近はリゾート 比地(ヒジ)川:全長7.7km。比地の大滝で有名な川。島の最高峰、与那覇岳を源に奥間ビーチの南に流れ出ます。(左写真:河口)
砂防ダム この砂防ダム、とてもユニークなデザインである。どこかのテーマパークのよう。当初はごくふつうのコンクリート面 の建造物だったが、堆積物で水の出口がふさがれたため、改修し穴を開け直した際に、デザインも工夫されたらしい。
現在の砂防ダム内側に回り込んでみよう。土砂の堆積とヨシの生育がすすみ、魚道があがっている辺りには水がきておらず、魚の遡上が不可能な状態がわかる。 これがやんばるの川なのか。
赤い吊り橋

砂防ダムそばにキャンプ施設が整備されている。ここで夏の夜を過ごしたら、周囲の森からはいったいどんなざわめきがきこえてくるのだろう。

ここから1.5キロ先の比地大滝まで、木製の遊歩道が整備されており、気軽にやんばるの森の中を楽しめる。 途中、真っ赤な吊り橋が、緑の森に映える。ここから見下ろす渓流の景観は先ほどの砂防ダムで感じた「?マーク」をひととき忘れさせてくれる。

渓流の岩場

素足で歩く遊歩道を外れて、川に降り、裸足でしばらく遡った。清流に足指が喜ぶ。顔がほころぶ。頭上の森から、オオシマゼミの輪唱が降り注ぎ、獣の唸り声のようなカラスバトの声が響く。森と水の精気が身体に充満し、澱を取り去っていく。くせになりそうな「やんばる浴」。妖精キジムナーも確かにこの森にいるような気する。

 

リュウキュウハグロトンボ 森で出会った生き物たち キノボリトカゲ
オオジョロウグモ シリケンイモリ ノボタン

やんばるの森 参考サイト
やんばるの自然について学ぼう(沖縄総合事務局北部ダム事務所)

 

瀕死の森

 

本来の姿ではないやんばる

ヤンバルの西の斜面を遠くから眺めると、所々に赤茶の樹冠が・・。「おや、亜熱帯常緑樹林に紅葉?」いやいや、これは松くい虫に犯されたリュウキュウマツの惨状である。県は、5年間で15億円を投じ、松くい虫の根絶を目指しているとか。しかし、やんばるの森の場合、その本来の姿は、長い年月を経て行き着いたイタジイ主体の安定した極相森林であり、リュウキュウマツが混生しているところは人の手が入っている二次林であるという。手つかずの豊かな原生林が広がる地・・・と思っていたが、どうやら少し違うようだ。

イタジイ:正式にはスダジイ。ブナ科。常緑広葉樹。
極相林:人の手がはいらないまま、長い年月をかけて最終的に安定した状態まで遷移した森。

命の連鎖への影響

大規模な林道の建設、天然樹木の伐採、農地化などの開発。県の補助金が使われる、下生え刈り取り・・・。 薄っぺらで、保水力も無くなった林床の下は、直に赤土「国頭マージ」がある。この状況が、微妙なバランスを維持している、やんばるの貴重な生態系に悪影響を及ぼしていることは否めない。スカスカの森では、飛べない鳥「ヤンバルクイナ」や、イタジイの老木に営巣する「ノグチゲラ」は生存できない。赤土も流れ出し、川、そして、海の命の連鎖にも影響を及ぼしている。自然保護の観点から見れば、いかにも残念な現実だ。

残された聖域を後世に・・・

自然破壊の進んだ西の斜面の森に対して、東の斜面の状況は少しちがう。驚いたことに、東の斜面 のほとんどが、米軍の戦闘訓練場に占められているのだそうだ。そして皮肉にも、民間人の開発や立ち入りが禁止されてきたおかげで、こここそが、生物多様性を保全する環境を保ち続けている。 近い将来、約80平方kmのうち北半分が返還されることになっているが、そこには樹齢100年を超える巨木を含む、切れめない自然植生で海岸線まで覆われている水系が残っているという。まさに、最後に残された「聖域」である。返還後、その自然をできるかぎり壊さないようにしなければならない。しかし、返還に伴って、非返還部分にヘリパット(ヘリココプター着陸帯)を新たに造る計画があるなど、森全体のダメージが懸念されている。  

 


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